ロードマップ指向とエコシステム指向 by essa
2014-03-30 に公開された記事。記事タイトルは「ロードマップ指向とエコシステム指向」だけど、本文中には「ロードマップ指向 VS エコシステム指向」というフレーズが登場する。対立させるようなものでもないだろうから、ぼくはタイトルの通りに「と」でつなぐパターンの方が受け入れやすいと感じた。 私は、80年代からずっとプログラマをしていて、今でも現場でコードを書く仕事をしているので、同世代の人から、彼らと現場の若い人との仲裁役というか通訳のようなことを期待されることが多い。
確かにそこには微妙なギャップがあって、自分はどちらの言い分にも共感する所があるので、なんとかそれを言葉にしたいのだが、なかなかうまく言えなかった。
90年代くらいまでは、IT業界には「ロードマップ」という長期計画があった。基本的には、コンピュータメーカが顧客に対して「うちは、今後数年間、こういう技術でこういう問題を解決していきます」という見込みを述べて、セールスのプロモーションに使うものだ。
私の上司は、これを見て、チームの中で誰にこれを勉強させて、どの顧客を実験台にしてRDBを試すのかとか計画する。そして、重要な顧客がRDBに切り替えるタイミングまでに、自分の部下の大半がこれの経験を積んでおけるようするためのストーリーを組み立てる。
この時代を経験している人は、今でもこの「ロードマップ」があるかのように、プログラマの勉強について考えているような気がする。つまり、これに従えば確実に見返りがあって、これに遅れると確実に失業するような計画表がどこかにあって、それを読みとることが成功で、それを読みきれないことが失敗であると。
しかし、今の業界は、「エコシステム」の時代だ。熱帯雨林のように、食いあいつつ共生しあうさまざなタイプのプレイヤーが、自分の為だけの個別の意思決定をして、その相互作用で技術が発展していく。
このふたつでいうとぼくは完全にエコシステムとして業界を捉えていると思う。それ以外の捉え方をしたことがない。なんでだろうねぇ、OSS を活用することがほとんどだからかねぇ。 仮にスキルとしてのソフトウェア技術に明確なロードマップがあったとしても、2020 年のプロダクト市場に明確なロードマップを求めるのは極めて困難であろう。スマートフォンが普及して「モバイルファースト」と叫ばれるようになる、なんてことは事前に予定された出来事ではない。インスタ映えする写真を投稿できるスキルが重宝されるようになるなんて 2000 年の時点ではわからなかったはずだ。すべては市場原理によって進行していく。